ソフマップのコールセンターには、毎日たくさんの問い合わせが全国から寄せられています。入電数は年々増えていますが、顧客満足度(※)は常に95%以上をキープ。その理由のひとつには、COPCという国際基準のオペレーション品質保証規格の認証があります。国内の小売業界ではまだどこも取得していなかったCOPC規格。そこに挑んだ仲田洋志と石澤裕久の取り組みをご紹介します。
※「電話&リモートサポート」ご利用のお客様を対象にしたWEBアンケートより
- 仲田洋志
サービス事業部 コールセンター 主任 - 石澤裕久
サービス事業部 コールセンター リーダー
コールセンターのパフォーマンスを数値で知りたい!
コールセンターは、全国の店舗や各種会員サービスの総合窓口であるほか、「月額安心サポート」と「電話&リモートサポート」というオンラインサポートの現場でもあります。チームに分かれてそれぞれ専門性を磨いていますが、IoTによってあらゆるものがネットにつながろうとしている現在、相談される方の年齢や性別、用途も広範囲になり、質問内容も多岐に渡ります。
2013年からコールセンターを担当する仲田洋志は、「最近では、コールセンターのパソコンから遠隔で操作できるようになり、サポートをするうえでとても便利になりました」と話します。
それでも、接続に至るまでが大変なときもあります。「たとえば電話の向こうでは“実行キー”や“カーソル”が何のことだかわからなくても、違う言葉に置き換えて、粘り強く丁寧に対応しています」と仲田。お客様の気持ちを最優先に考えてきました。
2014年にコールセンターが初めて実施した、電話&リモートサービスを利用された方へのアンケートの満足度は97.5%。その後も、掛かってきた電話をどれだけ受けられたかを示す「応答率」にこだわりながら、コールセンターは満足度を維持し続けました。
「でもやがて、応答率が本当にクオリティを示す数字なのか?運用方法はあっているのか?」と仲田は思うようになりました。2017年、問い合わせ件数が年130%の割合で上がり続け、人員を増やすものの満足度が下がりはじめていた頃のことです。
「このままでは限界が来る。コールセンターのパフォーマンスを正しく分析で きる数字を知り、スピードもクオリティも上げたい」。そう考えた仲田が挑んだのは「COPC®CX規格CSP版リリース6.0」の取得でした。二人三脚で取り組んだ石澤裕久は、「忘れられない大変な6ヶ月間になりました」と振り返ります。
6ヶ月という短期間で、国際基準の運用を構築
COPCはコールセンター業務のマネジメントモデルで、1996年にアメリカのCOPC社によってつくられました。オペレーションの品質を上げてお客様に高い満足感を与えながらも、業務運営の効率化でコストを下げるというマネジメントモデルです。策定にはマイクロソフト、デル(コンピューター)、アメリカン・エキスプレスなどのグローバル企業が関わりました。また日本では、証券会社や電機メーカー、IT企業などがCOPCを取得しています。
2017年にコールセンターに配属された石澤は、2018年3月、仲田と共にCOPCの研修に参加しました。「周りはそうそうたる企業の社員ばかり。初日から心が折れそうになりました。さらに、マニュアルは日本語なのに、専門用語が難しくて何を言っているのかよくわからない(笑)。そして、これから80名のスタッフを動かしていくことの難しさも感じていました」(石澤)
5日間の研修を終えて、とても不安になった石澤とは対照的に、仲田は「楽しそうだなと思いました。こういう数字の見方、分析の仕方があることがわかり、やる気満々になりました」と話します。
冷静沈着に数値を分析する仲田と、熱いリーダーシップの持ち主である石澤。二人によるコールセンターのオペレーションマネジメントの構築がスタートしました。COPCの認証試験は6ヶ月後です。
研修マニュアル、研修結果のチェックシート、モニタリング結果のチェックシート、スタッフ向けアンケート...。二人は、コールセンターに必要なものを見つけては作成し、そして運用するという作業を繰り返しました。また、毎日の朝礼でCOPCについて言及。
「みんなに伝えたかったのは“何のためにやるか”ということです。COPCを取得することが目的ではなく、お客様が喜んでくれるから、そして業務が改善されるからやるんだということを理解してもらいました」(仲田)
スタッフの意識を高めながら、COPCの考え方や分析方法をソフマップのコールセンターの運用に当てはめていくうちに、二人には改善の様子が数字で見えてきました。
「例えば、オペレーターの作業時間のばらつきの原因は、電話を切った後に書く書類にありました。そこで書式をシンプルにしたところ、平均して1分近くも短縮することができました」(石澤)
2018年9月、あっという間に6ヶ月が過ぎ、認証試験である監査期間(3日間)が訪れました。
「当日まで運用を構築していた項目もあり、まったく自信はありませんでした」と仲田。仲田は数字を出せるようになったものの、運用が追いついていないことを心配していました。
そして緊張の3日間を送った後、いよいよ出された監査結果は…合格でした!
石澤は「モニターに映されたレポートに“合格”の文字が見えた時は本当に嬉しかった!」と笑顔になります。
「6ヶ月という短期間での取得は、全てのメンバーがコールセンターを良くするという目的に対して、意志を統一して一丸となって取り組んだ結果です。」(仲田)
やっとスタート地点に。これから改善させながら走り続ける
「COPCを取得することはできました。しかし、これで終わりではありません。むしろ、今やっとスタート地点に立ちました」
仲田は「この6ヶ月間で構築したマネジメントをこれから継続して運用し、COPCのやり方をコールセンターに浸透させていくことこそ重要」と話します。石澤も「取得を目指してここまで走ってきましたが、これからも走り続けます。業務内容の変化に合わせて、つねにコールセンターに合った形に改善をしていきます!」と意気込みます。
COPCの取得はコールセンターの運用方法を変え、仲田と石澤をはじめとする周囲の人々の意識を変えました。
「店舗にいた時は、売上というわかりやすい目標がありました。でもコールセンターに異動してからは、正直に言って、今日一日の結果を実感できていませんでした。しかし今はたくさんの目標があります。数値化したことで結果が見えるようになり、それがやりがいにつながっていることを実感しています。コールセンターでは、一人ひとりがスローガンである“お客様最優先”の視点で、目標を持つようになったのです」(石澤)
「会社の成長とサービス拡大にともない、お客様からのお問い合せは増え続けていますが、コールセンター全体の残業時間は減りました。一人当たりの処理件数が増えたのは、みんなの仕事に対する見方が変わり、必要な数字を理解して行動するようになったからだと思います。こういう数字が欲しい、というスタッフも出てきました。今、コールセンターは他部署から注目されています。パフォーマンスを上げるやり方を教えて欲しいそうです。今後、COPCで培ったノウハウを各部署に伝えていきます」(仲田)
お客様満足度の向上と効率の良いオペレーションの実現に向けて取得したCOPC。ソフマップのコールセンターでは、今後、構築したマネジメントを発展させながら、さらにお客様にご満足いただけるようなサービスの提供に努めていきます。
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