戦後のヤミ市から電気街へと発展していった秋葉原は、ラジオ部品にはじまり、テレビ、オーディオ、パソコンなど「時」の家電製品を日本中に普及させました。近年では、アニメやゲーム、マンガ、メイドカフェ、地下アイドルといったポップカルチャーを世界に発信。つねに新しい文化を芽生えさせるアキバです。ソフマップはいま、このアキバからeスポーツを全国に広めるための取り組みに力を入れています。子どもからプロまでeスポーツを無料で楽しめる「e Sports Studio AKIBA」について、秋葉原の歴史も交えながら川嶋 靖二がご紹介します。
広報宣伝部 eスポーツ事業担当 マネージャー
川嶋 靖二
電気の秋葉原から、ポップカルチャーのアキバへ
秋葉原の魅力は、柔軟に変化できるエネルギーです。この街は、1890年に貨物列車用の秋葉原駅ができると商業地域として発展しました。まだその頃は、電気店は少なかったそうですが、1945年の東京大空襲で焼け野原になり、そこにできたヤミ市に電器商が集まりました。露店の「電気街」が形成された後は、時代を映すように、ラジオ全盛期は真空管、テレビ放送が開始されるとテレビ、高度成長期には洗濯機や冷蔵庫を売り、やがて秋葉原は家電製品を求める人で溢れていきます。
ひとつの転機となったのが1980年から90年代のパソコンブームです。秋葉原はパソコン街へと姿を変え、その頃(1983年)に、ソフマップも秋葉原に1号店をオープンさせました。昭和時代のアマチュア無線やオーディオ、平成時代のパソコンなどで、つねにマニアを集めてきた秋葉原ですが、やがて「オタク」と呼ばれる人たちがアニメやゲーム、フィギュアなどを求めるようになります。その結果、メイドカフェや地下アイドルといった新しい文化が誕生して、いまでは「アキバ」として世界中にその名前が知られています。
秋葉原電気街振興会ホームページのアーカイブには、秋葉原の由来から現代までの歴史が掲載されています。
https://akiba.or.jp/
アキバから次に生まれるカルチャー
ソフマップは、ゲームソフトやフィギュア、アイドルイベントなど、秋葉原に芽吹くムーブメントを敏感に吸収し、そして発信してきました。そんな私たちがいま感じているのがeスポーツのポテンシャルです。日本ではeスポーツはまだ身近ではありませんが、多くの日本人はパソコンやスマホ、テレビなどを通して毎日のようにゲームに親しんでいます。もっと本格的にゲームを楽しみたいと思う人はたくさんいらっしゃって、その先にeスポーツが広がっています。
そんな熱量の高まりを感じるのが、ソフマップAKIBA②号店 パソコン総合館の1階にある「GAMING ZONE」です。ゲームに快適な処理能力を持つゲーミングPCのほか、ヘッドセットやマウス、キーボードなどのゲーム専用デバイスも揃い、幅広い年齢層のお客様が訪れています。また、隣接するメーカー各社の専用ブースの人気も高まる一方で、メーカーとソフマップのコラボレーションも増えています。
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GAMING ZONEができた2017年9月より、私たちは、ここを訪れるお客様にeスポーツの魅力を伝える手段はないかと考えていました。そして、2017年後半に、無料でeスポーツを楽しむことのできるスタジオをつくろうと決めたのです。そこには、パソコンから生まれる新しい文化としてのeスポーツを、アキバから全国に広めたいという思いがありました。
プレイヤーとファンのリアルな交流。そしてネットでのライブ配信
「e Sports Studio AKIBA」は、2018年4月にソフマップAKIBA②号店 パソコン総合館の2階にオープンしました。最新のゲーミングPC、モニター、キーボード、マウス、ヘッドセット、チェアを備えたプレイヤー席10席と、実況中継のための解説席で構成されています。観客は40インチのモニター4台で観戦。さらに、ビデオカメラやミキサーといった中継用映像機材が備わっているので、スタジオからライブ配信することができます。試合後は、YouTubeチャンネルを通じてダイジェスト動画などもアップしています。
e Sports Studio AKIBAは、学生サークルやプロチームなど、団体であればアマチュア、プロ、個人、法人を問わず、無料でご利用いただけます。週末には試合や大会が開催されて盛り上がっていますので、ぜひ、観に来てください。もちろん、観戦料も入場料もかかりません。
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普通のスポーツ同様に集中力やチームワークが求められるeスポーツは、ゲームの種類にもよりますが、1試合でプレイヤーたちは息がつけないほど憔悴します。さらに実況アナウンスによってスタジオはヒートアップし、試合後のファンとの交流会は熱いものになっています。プロと対戦できるイベントも人気です。おかげさまで、最近では「あそこの2階に行けば、週末は何かやっている」と言われるようになりました。
eスポーツの裾野を広げ、世界で活躍できるプレイヤーを育てたい
e Sports Studio AKIBAの目的は、日本におけるeスポーツの普及です。私たちは、その魅力を広く発信するとともに、プロチームがビジネス面で成り立つようにサポートもしていきます。
そのひとつがスタジオに隣接する「e sports goods shop」です。人気チームのタオルやTシャツ、キーホルダーなどを販売するコーナーです。オリジナルグッズを身に付けて観戦することでファンとして先陣を切り、試合後にサインをもらっている人はたくさんいます。もちろんプレイヤーの気迫も、ファンがいることで変わってきます。ソフマップでは、オリジナルグッズを通して交流が深まることを応援していて、自分たちでつくることのできないチームに対しては、グッズ製作のお手伝いもいたします。
そしてもうひとつの取り組みが、次世代のプレイヤーの育成です。いま、学校や行政などと連携してeスポーツを学ぶ場所を提供しています。たとえば、クラーク記念高等学校の授業科目「eスポーツ」は、戦略の立て方やメンバーとのコミュニケーションの取り方などをe Sports Studio AKIBAで学びます。2018年10月には、徳島県のeスポーツ会場と秋葉原をオンラインで結び、子どもたちが対戦するゲームイベントも開催しました。
eスポーツは、海外では賞金総額20億円超えの大会があり、2022年のアジア競技大会(アジアオリンピック)の正式種目になる可能性もあります。日本のチームが世界で活躍できるように、ソフマップでは、プレイヤーがファンの前で対戦できる機会を提供し、交流イベントを通じてファンを増やし、そして次世代のプレイヤーを育てていきます。
一方で、eスポーツにはさまざまなジャンルがあります。シューティングやバトルのようにスピードが求められるゲームもあれば、パズルやシミュレーションといった頭脳で戦うものもあります。私たちは、小さなお子さんからご高齢の方まで、みんなが興味をもってeスポーツに参加してほしいと願っています。このアキバから日本中にeスポーツの風を吹かせたいのです!