ソフマップ(Sofmap)

Activity Report 04 最上町×ソフマップ 地域におけるリユースPC再利用の取り組み

実証実験実施の背景

山形県最上町の役場が使用していた業務用パソコンを、ソフマップITADサービスの仕組みを活かしてリユースパソコンとして再生し、地域で活用する『最上町 × ソフマップ リユースPC地域再利用事業』の実証実験を行いました。この取り組みの背景や内容についてご紹介します。

1)機器のライフサイクルをサポートする ITADサービス

ITADサービスとは、IT資産の購入から買取・リサイクルに至るまで、IT資産をライフサイクル全体でサポートする法人や自治体向けのサービスです。
企業や自治体が使用したIT機器は個人情報などの機密情報が保存されており、廃棄の際はデータ消去、記憶装置の物理的な破壊など適正な処理が求められています。
ITADサービスでは、使用済みの機器のデータ消去はもちろん、追跡管理や消去証明書の発行により、安心安全の再商品化によるリユースや適正なリサイクル処理を行っています。IT機器のライフサイクルを管理する環境に配慮した環境循環型のサービスです。

2)使用済パソコン再利用による環境貢献

1980年代から携わってきたリユース事業で、現在は環境への貢献を目指しています。個人間売買によるリユースが徐々に定着しつつありますが、IT機器に関しては情報セキュリティの問題や、機器の品質の問題からまだまだ進んでいません。
そこで、ITADサービスを活用し情報セキュリティ技術や商品の品質管理を行うことで企業にリユースを広げれば、環境への貢献につなげることが可能なのではないかと考えました。実際に取り組みを進める中で、想像以上に使用済み機器の適正な処理に困っている担当者が多いことがわかりました。さらにそれだけに留まらず、この事業を通じて地域社会への貢献につながる取り組みもできないかと考えました。

3)地方自治体向けセミナーの開催から実証実験まで~山形県最上町との取り組み~

企業に向けた活動を行う中で、地方自治体でも同様の悩みを抱えていることが分かりました。特にマイナンバーなどの高度な個人情報を扱う自治体や役所等では、システム担当者が少ない、または専任ではないため、使用済み機器の処理が後回しになっている状況があることもわかってきました。
そこで自治体向けにセミナーを開催し、困りごとを解決するとともに地域社会への貢献を実現する取り組みを行うことにしました。セミナーに参加いただいた自治体の中で、最も興味を示してくれたのが山形県最上町のご担当者様。これにより「最上町×ソフマップ リユースPC地域再利用事業」の実証実験に至ったのです。

地方自治体に向けたセミナー開催

2021年6月、地方自治体に向けて「ITADサービスを活用したリユース事業」のセミナーを開催しました。
情報セキュリティポリシーに関する対応方法を伝えるとともに、ソフマップだからできるリユースやサポートを活用し、自治体で不要となったパソコンを再生させて地域社会で再利用する仕組みをご説明しました。
その後セミナーに参加していただいた自治体の課題をヒヤリングし、課題の解決にもつながる「リユースPC地域再利用事業」を山形県最上町と行いました。

山形県最上町との実証実験

最上町では、処分できていない役場の内部情報が入った使用済み業務端末が保管されていました。
そこでソフマップのITADサービスを通じてパソコンを再生し、地域の福祉施設、教育関連、商店、町内会などで活用をはかるとともに、資源の有効活用と町民がデジタル化の恩恵を受けられる環境整備を推進することを目的に実証実験にご協力いただきました。

東北地方 山形県最上町 町長:髙橋重美氏 総人口:8,070人
(2021年10月31日現在)

1
最上町役場での打ち合わせ

ご担当者様と、依頼台数や取り組みの流れについて打ち合わせをしました。
160台の機器の依頼を受け、そのうち47台を再生可能パソコンとしてリユースすることに。総務省の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の機密レベル3でデータ消去を行うためにも、オンサイトでの作業を確定しました。

2
オンサイトでのデータ消去

役場内で職員の立ち合いのもと、パソコン160台をNIST(米国国立標準技術研究所)800-88Purge消去方式に対応したBlanccoDriveEraserでソフトウェア消去を実施しました。
データ消去できないものはHDDを取り出し、ハードディスクドライブ専用機器等を用いて物理破壊処理を行いました。

3
追跡機能とセキュリティカゴ車での運搬

追跡管理システムETTMSを活用し、依頼機器の個品管理を行うことで、出荷後のエビデンス管理も可能にしました。
出荷の際はセキュリティカゴ車を使用。職員による施錠を行うことで、ドライバーが解錠できないようにしました。徹底したセキュリティ体制のもと、引き取りから運搬までを行っています。

4
ITADセンターでの物理破壊

ITADセンター(千葉県浦安市)に依頼機器が到着した後、ご担当者様から鍵ナンバーを教えてもらいセキュリティカゴ車を開錠。引き取った160台全てのパソコンからHDDを抜き出し、メディアシュレッダーにて粉砕処理を行いました。粉砕後は1台ずつ撮影し、写真付きのデータ消去証明書を発行しました。

5
パソコンのリユース・リサイクル

全48台(ノートパソコン16台、デスクトップパソコン32台)の再生可能なパソコンのSSDを新しいものに換装。再生パソコンをすぐに活用できるよう、WindowsOSのインストールやクリーニング作業まで行いました。さらに、サービス&サポートのセットアップも行うことで、安心して使用できるようにしました。

再生できないパソコンについては細かく分別し、協力会社にて資源化をすることで銅・鉄・アルミなどの材料にリサイクルしました。

6
再生パソコンの寄付実績

町民や町内の社会福祉団体等に向けて、回覧チラシとホームページ告知を用いて再生パソコンの希望者を募集しました。
第1回では15件の団体や事業者が希望し、公民館のインターネット環境の整備や、高齢者の行政手続き支援などに活用されました。

寄贈式の様子

実証実験後、最上町にて寄贈式を行いました。 公募によりリユースPC地域再利用事業に参画された20の公民館、商店、温泉施設、特別養護老人ホーム、NPO法人等の関係者の皆様に集まっていただきました。

  • 黒沢町内会 様
  • もがみ南部商工会青年部最上支部 様

代表者のコメント

【黒沢町内会 様】
鳥獣被害対策の研修会にパソコンを活用していきます。また、地区の高齢者の行政手続き支援などにも役立てたいと思います。

【もがみ南部商工会青年部最上支部 様】
パソコンを5台寄贈いただきましたので、定期的に部員の勉強会を行いながら活動のIT化向上を図っていきます。

これからも持続可能な社会へ貢献するために

処分をすることが当たり前だった使用済みパソコンを、リユースパソコンとして再利用した今回の取り組み。ソフマップでは今後も持続可能な地域社会の実現に向けて、全国の自治体や企業へ拡大していきたいと考えています。
資源の有効活用を行いながら、そこでくらす人々のデジタル化に貢献していくことで、さらなる地域活性化を支援していきます。
ビックカメラグループとしても、地域社会への貢献を通じ、お客様のくらしに役立つだけでなく、地域産業の活性化にも貢献できるよう地方自治体との連携に取り組んでまいります。

営業本部 法人営業課 課長 原田 聡(はらだ さとし)

眠っていた多くのパソコンを町の活性化に

今回の自治体に向けた取り組みは初の試みでした。 その中で初めて、廃棄も活用もできないまま多くのパソコンが眠ってしまっているという課題があることを知りました。地方の自治体では、機器の取り扱い台数が少ないことにより処分が後回しにされていたのです。
最上町の町長様やご担当者様は情報セキュリティや環境貢献、社会貢献への意識が高く、実証実験に前向きにご協力いただけました。
また、もちろんパソコンの適正処理は大切ですが、町長様は町の活性化についても懸念しており、リユースパソコンを寄贈することでデジタル化を促進できるという点でも、この取り組みにつながったのだと思います。

同様に悩む他の地域にも広げていきたい

最上町様との取り組みが事例となることで、同じような悩みを持つ他の自治体にも興味を持っていただくことができたと実感しています。総務省のガイドラインも変更され、処理方法に悩んでいるご担当の方が多いようです。セキュリティについて厳格に示されていて、データ消去の工程ではどこで何をしているのか明確にする必要にあります。
そのような理由から自治体の方は機器の追跡サービスに興味を持たれる方が多いです。一般企業とは異なる視点だったので、新たな気づきでした。
今は、この取り組みに興味を持って賛同していただける自治体を地道に探しています。実証実験で気づいたことを活かし、取り組みを広げていきたいです。

代表取締役社長 中阿地 信介(なかあじ しんすけ)

企業向けサービスを地方に

ITADサービスは、総務省のガイドラインに100%対応できるセンターを作ろうとしたのが始まりでした。セキュリティを徹底し、大規模なスポーツ大会や企業で使用されたパソコンのデータ消去を実行していくなかで、地方自治体がパソコンの処分に困っていることを知りました。そこで自治体様向けのセミナーを開催したところ、今回一緒に実証実験を行った最上町役場様とご縁がありました。
ただ預かった機器をリユース・リサイクルして終わるのは、他の企業でも可能です。そこでもっと地域の方に活用していただけないか、ということを考え、再生したパソコンを町の方に寄贈する取り組みに至ったのです。

当たり前だと思っていたことが、
実は当たり前ではなかった

当初は福祉施設等で、家族とのオンラインコミュニケーションでの活用を想定していました。しかし実際は商店や宿泊施設、農家の方など想定外のところでニーズがあることがわかりました。
近年、コロナの影響で地方に住んでも都心に居るのと同様の働き方ができるようになっています。ネットショップの開設や農業のIT化が思った以上に地方では意識高く取り入れられていることもわかり、今回のような取り組みは、もっと地域活性化に貢献できるのではないかと思いました。ITの知識やスキルがなくても、当社がBtoCで培ってきたサポート体制を活用していけば、不安を払拭して再生パソコンの活用や地域の活性化につなげていけるのではないかと考えています。

企業と地域を結び、可能性を広げる

今後は地域の中での循環だけではなく、都心の企業から地元の地域に広げていくモデルもできると面白いと考えています。例えば、企業の社長が自身の出身地や関連地域に再生パソコンを寄贈し、地域の子供たちの教育や地域の活性化に役立てる、ふるさと納税のような仕組みもできるかもしれません。
ソフマップが支援をすることで、何かに貢献したいと考える企業と地域を結びつけることができると、新しい社会モデルにもなり得ます。一社でも多くの企業が社会への貢献に目を向ければ、地方の雇用創出や子供たちの教育をより良くすることができるのではないでしょうか。そのためにも、事業として取り組みを継続していきたいと思っています。
また、子供たちに向けても当社のITADセンター見学等を企画できたらいいなと考えています。将来誰か一人でも、持続可能な社会に貢献している会社として「ソフマップ」の名を挙げていただけたら、こんなに嬉しいことはないですね。