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Activity Report 15 【座談会 前編】リユースを日本の文化に!!

座談会後の記念撮影:左からテラ・ルネッサンス理事長 吉田真衣氏(通訳)、アフリカ事業コーディネーター トシャ・マギー氏、当社代表取締役社長 中阿地信介、テラ・ルネッサンス理事・海外事業部長 小川真吾氏

この度ソフマップは認定NPO法人テラ・ルネッサンスへアフリカ諸国で長期化する紛争および紛争鉱物問題解決の支援として現地職員ならびに支援対象者向けにリユースパソコンを寄贈し、当社ITADセンター(千葉県船橋市)にて贈呈式を執り行いました。

贈呈式のあとには、ITADセンターの見学および、テラ・ルネッサンス理事・海外事業部長小川真吾氏、アフリカ事業コーディネータートシャ・マギー氏と当社代表取締役社長中阿地信介による座談会を行いました。座談会では、今回のリユースパソコン寄贈に至ったきっかけや、アフリカ諸国において長期化する紛争や紛争鉱物問題に加え、今後のリユースの可能性や支援のあり方について意見が交わされました。 この座談会の内容を、双方にとっての気づきを中心に前後編に分けてお伝えします。

紛争鉱物問題解決に向けて
支援をするきっかけは

中阿地)

テラ・ルネッサンスの理事である鬼丸昌也氏の講演を拝聴する機会があり、そこでは、アフリカ諸国の子ども兵やカンボジアでの地雷問題について話されました。講演が進むにつれ、アフリカ諸国で紛争が長期化している原因の一つとして、私たち日本人にも身近なスマホやパソコンなどのIT機器に使用されているレアメタル(タンタル、スズ、金など)が関係していると知りました。また、これらの鉱物資源が紛争を起こしている武装勢力の資金源となり、紛争が長期化する要因になっているという説明もありました。講演を聞いていくうちに、最初は日本とは違う環境だなと漠然とした感覚でしたが、だんだんと引き込まれていき、やがて「私たちソフマップにできることは何だろう?」と考えていました。

そして、当社のリユース・リサイクル事業のITADを通じて支援ができれば、世の中を変えるきっかけになるのではという思いが芽生えました。さらに、鬼丸氏からも「リユースは世界を変えるひとつの武器である」とお言葉をいただき、テラ・ルネッサンスと共に取り組むことで紛争や紛争鉱物問題解決と、リユース・リサイクル市場を多くの方に理解してもらうきっかけになると考え、リユースパソコンを寄贈することを決めました。

生活の利便性をより高めていけるような企画を

生活の利便性をより高めていけるような企画を
小川氏)

今のお話を伺って、私は約20年近くアフリカの事業を担当していますが、現場で起こっていることは現場だけではなかなか解決できないジレンマと無力感を何度も経験しています。ウガンダやコンゴでは、日本では死亡率の低い下痢などで小さな子どもが亡くなる背景にレアメタルの問題があります。もしリユース・リサイクルがあれば、アフリカ諸国における資源を巡る争いは存在しなかったかもしれません。

コンゴでの紛争が続く要因は3つあり、【武器】【お金】【知識・人脈】で、それらがないと紛争は続かないのですが、最も重要なリソースはやはりタンタルやゴールドの資源です。採掘された鉱物の約半分が武装グループの資金源となり紛争が続いています。私たちはそこで傷を負った人たちの支援やサポートを行っていますが、私のジレンマは約20年活動続けてきても未だにコンゴで紛争が続いていることです。

ですが、そんな中でも2010年に嬉しいニュースがありました。アメリカで金融規制改革法の一環としてドット・フランク法が制定され、これにより紛争鉱物の購入(輸入)が規制されるようになったんです。素晴らしいと思う一方で、残念ながら、現在も紛争はなくなっていません。確かに欧米では紛争鉱物の購入(輸入)は減少しましたが、さまざまな問題が依然として残っており、紛争鉱物は武装グループの資金源となっています。

規制は非常に大事なことですが、日本で不要になったパソコンやスマホをリユース・リサイクルすることも重要です。これはアフリカ諸国の紛争や貧困で亡くなる子どもの数を減らすことに直結します。ですので、中阿地氏が実際にアクションを起こしてくださったことは、現場にいる私たちにとって本当に嬉しく、心から感謝しています。

鉱物に関わるあらゆるセクターの行動変容が必要

中阿地)

ありがとうございます。ちょうど鬼丸氏の講演の中で、日本で使用しているスマホなどのIT機器に紛争鉱物が使われているのではと考えた一般ユーザーが、実際にメーカーに問い合せたことがあるとのお話を聞きました。その際「そういった紛争鉱物は使われていない」という回答を得たそうです。安心したと同時に、世界のさまざまな問題に気を配る社会というのが私に深く響きました。

リユース・リサイクルの力がもっと広がり、不要になったパソコンやスマホを買い取った後、それを必要とするお客様に安心してご使用いただくことや、リサイクルを通じて社会貢献ができることを、少しでも多くの方にメッセージとして伝えていきたいと考えています。テラ・ルネッサンスと一緒に活動することで、皆さんに知っていただき、支援や協力、社会貢献の輪が広がるきっかけになればと思っています。これが、今回ご協力させていただいた一番の目的です。

小川)

本当にそうですよね。

コンゴの紛争は戦後最も死者を出した紛争と言われていて、540万人以上の人命が失われていますが、世の中ではほとんど関心がなく、よく現地では忘れ去られた紛争と言われています。私たちはこの紛争の背景や要因も含めて知ってもらうこと、関心を持って欲しいと思っており、どうすればよいかいつも考えていますがなかなか上手く伝えられていませんでした。ですが今回、日本の方なら誰もが知っているソフマップがリユースやリサイクルを通じて、紛争鉱物問題の解決に取り組んでいることを、今回のパソコン寄贈を機に多くの方に知ってもらうことで、テラ・ルネッサンスの活動にも関心を持ってもらえると考えています。

日本ではアフリカ諸国の紛争問題を身近に感じていただけないこともありますが、スマホやパソコンに使われているレアメタルが関係していることを知ってもらい、ソフマップを通じてリユースやリサイクルを利用することで、より身近に感じてもらえると信じています。今後もぜひ共に活動していきたいです。

都市鉱山から考えるSDGsや
社会貢献について

中阿地)

そうですよね。現在の小・中学校では、私の息子も中学1年生ですが、SDGs教育が当たり前になっています。この中で、リユースやリサイクルが社会の問題解決に役立ち、日本だけでなく世界を変えることにも繋がるというメッセージを、当社としても発信し続けることが大切だと感じています。

都市鉱山が注目されている今、実際に資源を採掘するよりも、企業やご家庭で眠っているIT機器を有効活用することが、お得に便利なだけでなく、社会貢献や資源循環の観点からも非常に重要なテーマだと思っています。

生活の利便性をより高めていけるような企画を

生活の利便性をより高めていけるような企画を
小川)

本当にそうですよね。都市鉱山に関して日本は世界トップレベルの資源大国です。ゴールドは世界の埋蔵量の16%が日本に眠っていると言われていますし、紛争鉱物の一つであるタンタルは11%が日本に眠っています。しかし、コンゴの人たちは日本にこれだけの都市鉱山があることを知らず、そのことを伝えるとびっくりして「なぜその都市鉱山を利用しないのか?」と質問をされます。

私たちも含めて多くの日本人は、都市鉱山のことをコンゴの人たち同様に知らないと思うんですよね。日本のみなさんにも、ただ不要だからリユースやリサイクルをするだけではなく、コンゴやアフリカ諸国の人々の命を救うことにも繋がることを伝えて行きたいです。

コンゴの紛争で亡くなった方々の中には、銃などの武器で亡くなる方も少なくありませんが、ほとんどが間接的な理由で、紛争が起こって移動の自由が奪われて、安全な水や食料、薬にアクセスできなくなったことが原因で亡くなっています。また、マラリアの感染で毎年多くの命が失われています。私もマラリアに感染したことがありますが、治療と予防は簡単で、たった500円程度の治療薬があれば亡くなることはありません。しかし、500円の治療費も出せずに亡くなったり、栄養状態が悪かったりで、世界におけるマラリアでの年間死亡者数の10分の1がコンゴで、まさに紛争鉱物問題が起こっている地域に集中しています。

たった500円の寄付で1人の命を救うことができるというインパクトの大きさを、リユース・リサイクルを通じて支援してくださる方々に、ソフマップと共に伝えていきたいです。

中阿地)

はい。ぜひこれからも共に取り組んでいきましょう。また、企業の意識も高めていけるといいですよね。今回、寄贈させていただいたリユースパソコンは企業から買取をしたパソコンなのですが、やはり企業も使い終わった後のパソコンの再活用であったり、リサイクルを通じて社会貢献ができるということが浸透していけば、多くの企業からも賛同していただけると感じています。

小川)

現場の支援だけでなく、鉱物に関わるあらゆるセクターの行動変容が必要だと感じていた中で、ここ2~3年で寄付や寄贈に協力いただける企業が増えてきています。ご協力いただいている企業のそれぞれの得意分野と強みを持ちより、テラ・ルネッサンスと共に、コンゴの問題や紛争鉱物問題について話し合い、各社の取り組みなどを発表できたら素敵ですよね。

後編では、リユースの可能性や支援のあり方についてご紹介します。